小学4年生から６年生までの３年間は子どもたちの体が急速に成長する時期で、彼らが新たに獲得していく能力にも目を見張るものがあります。小学校で学ぶ学習の量も増え、内容も難しくなり、その後の中学や高校での学習の最も重要な基礎となります。中学受験で必要とされる語彙や計算能力をしっかり習得することで、その後の学習の基礎ができ、自らの意志と判断で自立した学習を可能にすることができるようになります。その意味では小学生としての貴重な３年間といえます。その後の中高６年間を通して、少なくとも自ら学ぶことへの困難を排除することができるようになります。 もしこの時期に中学受験をしなければ、その重要性に気付くことなく「子どもは遊びが仕事だ」とばかりに勉強をおろそかにした結果、中学入学後の学習内容のハードルの高さに苦労する結果となります。

一方で、受験勉強といえば、競争原理の中で常に他人と比較され続け、どんなに頑張っても必ず自分より優れている人がいることに絶望してしまう、というマイナスのイメージがあります。特に中学受験は親主導で行われるためにその弊害が生じやすいようです。子どものために良かれと思ってした親の決断が子どもの自己肯定感を低くし、中学受験に成功はしたものの、中学入学後、子どもが荒れてしまう例は少なくありません。さらに中学受験に失敗したら、頑張れなかった自分とともに、自分をそこに導いた親に対しての嫌悪感が増すために、怒りが増大してしまいます。膨大な時間とエネルギーを投入してそのような不幸を生み出すべきではありません。

受験という目標に向かって自律的に計画的に学習するとともに、定期的に体を動かしたり好きな趣味に没頭したりすることは、脳の働きを活性化しストレス発散の効果も期待できます。私たちは子どもたちの「やりたい」という気持ちを最大限に尊重しながら、学びを通して自分自身の成長を感じ取れる子どもたちになってほしいと願っています。